風見鶏はどこを向く?

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選挙/衆議院選の投票行動の推測

 今回の選挙は熱かった。何が熱いって、台風の中で主張の明確な党同士が争う、これまでにない波乱だったんだってこと。与野党の混戦選挙区も多かったので、見てる分にはドキドキハラハラしたものだが、さて実際の暮らしにつながってくるとなるとまあ楽しむという視点はなかなか持ちづらいというところだ。
 選挙前に「希望の党」が立ち上がり、センセーションを巻き起こすかに見られていたが、小池東京都知事兼同党代表の「排除発言」で最終的に「立憲民主党」が出来て、野党票が二つに。が、この一連の動きの間に与党自公に動きや大乱はなく、安定した議席獲得は与党となった。
 そのような党の内乱を横目に、有権者はどうやって議員を選んだのか。細かい分析は細かい人に任せるとして、その分析を元手にした推測を立ててみる。
 真っ先に取り上げるのは「知名度候補」だ。自民党でいえば神奈川11の小泉進次郎や、新潟5の泉田裕彦(前同県知事)。立憲でいえば党首で埼玉5の枝野幸男などだろうか。といっても、小泉や枝野は党の目玉候補であり地域住民の信頼感の現れであるのに対し、泉田は一応選挙区では新人なので「党として(というより党の意見と一致して)」より「地域の知名度」が勝っている感じがある。
 知名度でまさる候補も全国には確かにゴロゴロいるにはいるのだが、しかしそのような候補ばかりで選挙というのは成り立たない。では、そんな選挙区ではどのような投票行動を有権者は見せたのだろうか。
 その前に、今回の選挙区の政党配置について考えてみたい。一番多かったのは、「自民・希望・共産」の「保守・やや保守・革新」の構図で、他にも「自・維新・共産」(大阪に多い)など、保守対決になった選挙区が多くある。
 そうなるとやはり、これは「草の根による『党より人』」になるのではないか。なにせ、保守政党は政策自体はほぼ一緒なわけで、そこから選ぶには「人」なのだ。
 しかしその真髄は『党より人』でありながら『人より党』でもある。これはどういうことか。
 強力な政府による政策の必要がある地域――たとえば都市部空洞化・教育政策・原発などの地方基幹産業に関わる諸問題についての、安定的かつ実行的政策を望む地域――は当然、安定的にことを運ぶ与党系候補を選択し、その議員に地域の声を取り入れるよう呼びかけるわけで、そこにリベラル派が同じ路線で食い込めることは無い(与党系の方が圧倒的に実績というアドバンテージを持つ)。結果として都市部では有効な政策をかかげている政党でも、地方では与党批判に移ってしまう構図が、地方においての与党系候補の当選の間接的要因だ。
 たとえば、兵庫の公明党候補2名は、「法案提案・実現の実績」をアピールし圧巻の当選。こういったことからも、与党であるだけで半端ないアドバンテージがあるのは事実。与党にいることで実現力が違う! というのは、確かに間違いではないだろう。
メインの思い・主義主張よりも、自分の生活に関わる切羽詰まった政策がより動きやすい政党に入れるのは、自然な投票行動と言えるだろう。
 どの政党も11月になれば厳しい船出は覚悟しなければならない。維新は現有を大阪で守れず、公明は油断の小選挙区全勝ならず。自民は余裕はあるが現職が追い込まれたケースあり。
 希望は言うまでもなく大敗微減、立憲もまだ組織も構築されておらず党内ガバナンスも気になる、共産社民はもう存在感キラーとの戦いになるだろう。