風見鶏はどこを向く?

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ここが変だよコンビニは ~店員が感じるいくつかのこと

 気が向いたら即筆を執れと誰かも言っていた気がするので、コンビニバイトと現在のコンビニ業界にまつわる僕が少しだけ知っていることについてちょっと書こうと思います。

 とある小さな、ともすればほとんどの方々がご存じないような、普通の住宅地に立地する何の変哲もないコンビニに、去年の春から働かせてもらってる身分の僕が知っていることはごくわずかですが、それでもいくつか「ここが変だよコンビニ」と思ってしまうことがあるのです。

「未成年”に”売っちゃいけない」けど「未成年”が”売ってもいい」タバコ

 未成年者喫煙禁止法によって、日本ではタバコは未成年への販売を禁止されています。ただ、未成年者飲酒禁止法によって同様に未成年への販売が禁止されている酒類と比べると、自転車でやってきてタバコを買いに来ようとするバカが未だに2~3ヶ月に1,2回のペースでやってきます。
 タバコを未成年に売ると店側に罰則が行くので、こちらとしても最大限打てる手を打ってタバコを売らないようにしなくてはいけません(まずこのシステムも問題ありすぎだろ、とは思いますが)。それは現状の制度なのでここでは論じないとして、不思議なことが、「タバコを未成年”に”売ったら罰則」なのに「タバコを未成年”が”売ってもノープロブレム」ということです。
 コンビニバイトは、(店にもよりますが)20歳未満の店員が一定数います。かくいう私も大学生ですし、さらに年下の高校生も数名います。だけど、平気でタバコを売ってます。
 ここで言いたいのは、未成年をめぐるタバコの売買に関しての不均衡云々ではなく、コンビニ本部にとって未成年は労働力として貴重であるが故に、未成年がタバコを売ることによって起こりうるデメリットを見て見ぬ振りをしているのではないかということです。
 大学生を含めたバイトをする未成年というのは、働きがいを求めるような一生の仕事とは違って、とりあえず目先の金が欲しいわけです。それが悪いことではないのは事実なのですが、いいように大人に利用されている面があるのもまた事実。未成年はコンビニにとって、流動的だが簡単にしかも安く使えて*1体力もある「労働力」です。
 では、「労働力」とした使われた未成年がタバコを売ることにどういう問題があるのか。ここで、「未成年がタバコを買ってはいけないが売ってもいい」という奇妙な仕掛けが影響を及ぼします。タバコが欲しい未成年(特に高校生・大学生)は大抵自分より年下の店員に未成年か否か判別されにくいんです。これが未成年の喫煙を助長しているのではないかとまでは思いませんが、間違いなく未成年がタバコを売っていることで生まれうるリスクではないでしょうか。

必ずどれか囮になる「中華まん」「揚げ物とフランク」「おでん」

 コンビニはせいぜいレジ前でしか商売できないので、現場としても自然とレジ前に力を集中しがち。そのため、自然とレジ前の「中華まん」「揚げ物とフランク」「おでん」はどうやったって過剰生産しがちです。各店舗で違いはあれど、夜遅くまでフライヤーを稼働させている店は見たことがないので、フライヤーが止まるとそこから深夜の時間帯にかけて売り切ることが目標になり、それでも売れなければ残った商品は深夜遅くに廃棄されます。
 では、この三種類で一番手間がかかるものはどれでしょうか? 中華まんはウチでは保温器に入れるだけなので、作る面で時間はほとんどかかりません(もっとも、売るのには結構時間を要するので、廃棄になりやすいものですが)。となると、時間がかかるのはやはりフライヤーを使って調理する揚げ物系でしょうか。確かに、揚げ物系は作るのに時間はかかりますが、うまく配分すれば*2売れる日はよく売れます。そうなると、実はもっとも時間がかかるのに最後まで残るのはおでんではないのか、と思うのです。
 おでんは各時間帯の人がまたがって調理をしています。朝が来るとともに深夜の人が仕込み、早朝の人が売り、昼の時間帯の人が出汁を変え、夕方の人が売り、次の深夜の人が売れ残った分を廃棄する・・・・・・。揚げ物系統より長く売られ、冬場のメイン商品としてその地位を確保しています・・・・・・が、おでんはこの時期、思ったよりも売れません。
 おでんが売れない理由としてよく言われるのが「秋頃にセールで安くしちゃうもんだから、冬の時期に売れないんじゃねーか」という話。ですが、消費の落ち込みを長引かせる要因としては、やや弱いかなという印象です。むしろ、おでんの売れ行きが不安定であるということに原因がありそう。
 おでんで一番売れる具材は、卵と大根、次いで厚揚げ(私調べ;異論は認める)。そういう具材から早くなくなっていきます。もちろん補充していくわけですが、そうこうしているうちに補充できる具材も少なくなっていくわけです。そうなると、残った具材だけでおでんを構成するのも結構難しくなる。しかも鍋いっぱいに具材が入っているわけではないので、お客さんの目を引かないし、仮に興味を持たれたとしても「あー、こんだけなんやな」と言われるだけだったり。こういう状況でおでんを売るのは難しいモノがあります。かといって、補充の具材をじゃんじゃん発注してくれ!と言えるわけもなし。だって、おでんそのものの売れ行きが不安定なんだもの
 結果的に、深夜の時間帯まで、「中華まん」「揚げ物とフランク」「おでん」のいずれか、特に「おでん」が売れ行きの足を引っ張り、廃棄の憂き目に遭う――ああ、なんと悲しき運命か。

結局、恵方巻きの大量生産は「売れるからやめるつもりはない」?

 皆さんは今年、恵方巻きを食べましたか。地鶏宅では食べました。別に伝統という感覚は皆無ですが、生まれたときにはもう習慣でした。まあ、でも家で食べられる数少ない寿司みたいなものだったので面白かったですけどね。
 さて、恵方巻きといえば、コンビニ業界のみならずスーパー業界などで大量生産・大量廃棄が問題になりましたね。「リサイクル工場に回される恵方巻きだったもの」を見ると、ロスされたものが貧困層に行き届けばいいけれども、恵方巻きみたいな鮮度が鍵を握るもんじゃ無理だし、システム自体に問題あるだろ・・・・・・と思った次第。
 特に特徴のない住宅街にある我らが店舗も、また恵方巻き商戦を繰り広げた日本全国に星の数ほどあるコンビニの中のひとつ。といっても、昨年とはその様子が異なるようで、昨年は一本モノの大型恵方巻きを店買い取りで売っていたのが、今年はペラペラのパンフレットでさりげなく予約販売に誘導する方向へ。
 しかしそれでも恵方巻きの大量生産はスケールダウンしながらも続いていたようで、前日から当日にかけて大量の店買い取りのカットされた恵方巻きが山のように並んでおりましたとさ。全部売れたからまだいいけど、これが親分のスーパーのように大量に並べて売ってあったとしたら・・・・・・背筋が凍る思いです。
 ウチはノルマも自爆営業もない割とホワイトな職場ですが、一部の店舗では未だにノルマが存在するんだそうです。そりゃ農林水産省も文書を出すわけだ。
 少し脇道に逸れますが、私の住む播州地域の地場スーパー・ヤマダストアーが恵方巻きについて、昨年から「前年実績で作る」取り組みを行っています。ヤマダストアーに関しては、知る人ぞ知る播磨灘が誇る春の珍味でありながら不漁の続いていたイカナゴも販売中止を決断するなど*3、実は持続可能な戦略を志向した方が業界全体にとっては得なんですが、この辺は所謂「囚人のジレンマ」というやつなんでしょうなあ・・・・・・。つまり、個別の店舗や企業の利益を優先して全体の利益がないがしろになってしまうという歯がゆさ。

 いろいろ書きましたが、まだまだ思うところがあるかもしれないのでまた思いついたら書きますと言っておいて〆。

*1:高校生は時給が異なるケースが存在する。また、そもそもコンビニ店員は全体的に深夜を除いて時給は安い傾向にある

*2:作りすぎれば売れないのは当たり前田のクラッカー。

*3:

www.itmedia.co.jp

最近聴いてるのを挙げておきます

 ここ数ヶ月長い文章を試験以外で書いてこなかったので腕がなまってますね。フォロワーさんに最近聴いてる音楽を尋ねられたのをいいことに、いろいろ書きます。

井上陽水「最後のニュース」

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 元から知ってはいたんですが、なんとなくこの曲が頭に浮かんで最近よく聴いてます。循環コードに、毎日流れてくるニュースの裏側を思わせる核心を突いたフレーズが繰り返され、サビは「いま あなたに/Good-Night ただ あなたに/Good-Bye」と語りかけるという構成。
 歌詞の中には作曲当時から変わらない社会問題(虐待・薬物・国際化・男女の人権・銃社会など)が生々しく描かれています。タイトルからもわかるんですが、「筑紫哲也 NEWS23」(TBS)でアンカーを務めた筑紫哲也さんからの依頼で書き下ろされており、それ故の歌詞でもあるんですが、語りかけるように歌うことで「決してそれは他人事ではない」と考えさせる点、凄みがあります。

◆坂口有望「空っぽの空が僕はきらいだ」

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 「夢は必ず叶うはずだった」という歌詞をさらりと書いてのけるシンガーソングライター。ヤバすぎる。風のような歌声と心の痛いところを突いてくる歌詞が調和してる一曲。これで高校3年生ですからね。
 現実はそのまま受け入れられることばかりでなくて、慰めのようなハッピーエンドの事ばかり聞いていても、また一方で残虐なバッドエンドを見ても、どっちにしても心が沈んでしまう今日この頃に、切ないだけで終わらない後悔こそが大事なんだなってこの曲を聴いて思いました。後悔することは決してネガティブなことではない。

◆ニノミヤ店内BGM

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 曲じゃないですけどね。実は私には倒産した企業の歴史を知るという趣味がありまして、ある日その過程で倒産した企業のCMを見ていたら偶然これを見つけてしまいました。ニノミヤは関西で展開していた家電量販店です。
 コーラスワークといい、コシのあるボーカルといい、サックスプレイといい、ただ電気屋に買い物に来てるだけなのにそんな盛り上げられてもというレベルの高さ。店自体は2006年頃に自主廃業してしまって現存していません。私もニノミヤには行ったことがありません。

◆ハンバート ハンバート「ぼくのお日さま」

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 やさしい。とにかくやさしい。
 歌詞のやさしさが沁みる。特に吃音持ちの方や、大事なことがすっと言えない人にとっては本当に刺さると思う。本当に大事なことは、大事だからこそ、言わないといけない。それもみんな歌が教えてくれた。
 ちなみにハンバート ハンバートさんは夫婦で活動を行っていらっしゃいますが、今年は平日にしかライブを行わないそうなので気になった方はそれを考慮の上でライブに行くなりしてください*1

電気グルーヴ「人間大統領」

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 わ け が わ か ら な い 。
 まあ、でもトランプみたいなのが大統領になれるなら人間全員大統領になれるだろバーカ、くらいの気持ちで作ってるのかもしれない。あるいはそうじゃないのかもしれない。元気はもらえる。「人面犬が副大統領」あたりが本当にわけわかめって感じだった。電気グルーヴって凄いんだな、と初めて聴いた僕はそう思いました。

◆M「Pop Muzik」

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 僕はJTのCM経由で知りました。変な曲でしょう。変な曲でしょう?でもこれが大ヒットしたんです。この浮遊感が何回か聴いていると癖になります。気の抜けたコーラスと気の抜けたボーカルの交差が凄い。なによりこんなに凄いテクノが70年代末にはもう生まれていたなんて。イギリスって不思議。

ハナレグミ「家族の風景」

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 僕は、ありきたりで普通の家族なんてのは本当は存在しなくて、どっか変な風景がひとつはあるもんだと思っていて、そういう意味でこの曲のワードセンスは僕の心の琴線に触れたのかなあと推測。デフォルメされた家族像なのに、その深淵にある語られないセンチメンタルを匂わせる言葉。こういう言葉がなければ語られない人たちがたくさんいるんじゃないかな。と、僕が勝手に思ってるだけですが。

 

 こんなもんでしょうか。

 僕の今回のお勧めは「空っぽの空が僕はきらいだ」です。それでは。

カクヨムに出さないやつ2

 たかが部活だからさっさと帰ってきてこっちの高校に来い、そしてウチを継げという父の言葉。話がそれだけなら電話を切るからな、という。

 彼は転勤族の父と度々諍いを起こした小学生時代のことをつい思い出してしまった。父は転々と住まいを移していったのに、そのくせいきなり家業を継ぎやがる。そんな父の自分勝手さがどうしても受け入れられなくて、野球の強豪校で自分の好きなようにやることを選択した。その暮らしは厳しいことばかりだったが、結果も伴った。やがて一部の人から注目を受けるようになり、甲子園だって夢ではなかった。

 なのに、これである。だからこそ父の「たかが部活」という言葉を否定することが出来ない。高校の部活でちょっと目立ったからって何か得があるわけでもないんだし。彼は父の言葉に苦しめられていた。

「ごはんできたけど」
 下の階からおばさんの声がする。

 強豪校にありがちな寮生活なんてものはなく、自力で下宿を探して自力で住んだ。飯付きで月3万と破格だが、より安価に暮らすために、部屋に余計なものを置かないことにした。だから彼の部屋は同期が驚くほど質素だ。

 質素な暮らしぶりを大家に心配されることもあるが、飯はしっかり食うのでその不安を打ち消しているはずだと、彼は思っていた。
 だが、心なしか食べる量が減っていたのだろうか。首を傾げて、表情は暗い彼の様子は、明らかに今までの彼ではない。

「ん、ごはんおかわりしないの」
「いや、・・・・・・今日はちょっといいや」
 多分、事情はわかっているのだろう。だがあえて何も言わない。それは自分が干渉されるのを好まないということ以上に、相手に心配をかけたくないという気持ち、その心配が自分の不安を増幅してしまうから、という防御反応のためだった。

◆野球が好きなんでこういう文章を書いていますが、野球の話じゃないです。

カクヨムに出さないやつ1

 将来を期待された大器の夢は、戦わずして突然途切れた。
 汚れた両手で部室を引き払う彼の背に、沈み欠けた夕陽。何の慰めにもならない赤い光が、ひとりぼっちの彼を照らした。
「・・・・・・こんなゴミクズ一つで、将来が、・・・・・・ポーンってな」
 彼がトングで拾い上げたのは、煙草の吸い殻だった。燃えて欠けた部室の穴、昨日の雨で腐り始めているが、どうせ取り壊されていくのだから関係ない。
 校庭にも、校舎で流れるアナウンスが響いてくる。まもなく下校時刻です、まだ下校していない生徒は速やかに帰宅してください・・・・・・。
 正門から帰ろうとすると、自分たちが果たした県大会準優勝という記録が見えてしまってなんだか女々しい心持ちになりそうだから、反対側から帰った。

「俺はな、野球するためにここに来たんだよ。野球できれば誰とでも良かったんだよ。最初はな」
 やり場のない怒りは、すぐに行動に表れる。皮肉にも、監督の教師が言っていた言霊の話が頭をよぎる。
「でもなあ、お前らみたいな屑とやりたくねえよバーカ」
 誰もいない虚空に枕を投げる。少し重い音がした。リリースと、キャッチ。いつも投げている硬式球より遙かに重く、そして心理的にも重く感じる。
 彼はやらかした部員と違って自宅謹慎を言い渡されているわけでも、退学をちらつかされているわけでもない。けれども、間違いなく、彼が考えていた野球部での活躍というものは、一瞬にして崩れ去った。
 燃えさかる校舎というのは、つまりそういう威力を持った光景なのだ。

◆ここまでかけた。多分、こうやって書いていかないとわたしは続きませんから、たぶんこうやって書いていきます。よってカクヨムには出しません

人間の弱さ

 人間は弱い。突然なんちゅう事を書いているんだ君はということだが、いや人間が弱いことを認めざるを得ないだろう。テレビを付ければいつだってわかる。いままで素面で真面目そうな人間が影で何をしてるかわからない時代、あるいは普遍的な風景。人間は外面だけ取り繕うのが上手くて、それから内面を照らし出すことなんてしない。僕もそんなに内面を見せたくない人間なので気持ちはわかるけど。

 人間は弱い。本当に強い人間はどうしただろうか。そんなことを、児童相談所の職員のニュースを見て思う。あの人たちだって、いつもはそんなに弱い人間じゃなかったかもしれない。誰かを守る気概が自分たちやそれ以外を傷つけるという、覚悟。でもそれ自体は強さと呼べないモノかもしれない。

 人間は弱い。弱さ故に他人の弱さを直視しない、だけど他人の弱さをフィルター越しに垣間見る。腹黒い隣人の自慰行為は見たくないけど、芸能人の不倫は週刊誌経由のワイドショーで知りたがる。それが悪いこととは言わない。しかし本当に怖いのは、自分の中にある弱さを知らないことかな、とも。

 人間は弱い。年月を重ねるごとに評価や価値基準は変わり続けるはずなのに、どうしてもそれに追いつき続けることが難しい。そのくせ、年月を重ねるごとに風化していく出来事をそのまま語り続けることが出来ない。ああ、なんて人間の歴史の中にある人間の構造は脆いのだろう。

 人間は弱い。だから、人間の弱さを認めなければ生きていけない、と結局自分の中で考えを内面化するしかないかもしれない。誰かと比べて、私はまだ強いと思いながら生きるしかないかもしれない。

 僕たちの社会は、こうやって出来ている、と言い切れるその迂闊さもまた弱さ。結局、人間は弱い。死にたくなるときだってある。

 結局、僕はこの言葉を何の希望も示さずに終わろうと思う。それが人間の弱さに対しての誠実さだと思う。人間が弱いということを、ありのまま受け入れて、可能な限り強くなっていくしかないから。

高校野球の「選ばれ方」(1) ~選抜と夏の違い、そして郷土愛

 僕の誕生日に春の選抜が始まるの、ほんと神って感じだ。などと頭の悪いことを考えているのだが、僕は高校野球ファン歴が浅いので楽しみ方は素人以上でも以下でもない。ただ、春夏の違いみたいなことに気が付いたのでつらつらと書いていこうと思う。

 春の選抜の選考材料は秋の都道府県大会と地区大会だが、いずれも「予選」ではない。従って、全勝(地区優勝)ならまだしも、ベスト4に入ったとしても勝ち方がまずければ選出されないことは大いにありうるのだ。
 勝ち方や地区大会の評価が選考に影響したと言う意味では、東海大菅生は本当に不運であった。東京地区は関東地域とは別枠で大会を行い、通常1枠の出場枠が約束されているが、2枠目を掴もうとすると関東地域の最後の候補との比較が必須になる。
 ここ数年、東京から2枠出場したケースはほとんどないが、今年の東海大菅生は対抗馬の横浜がコールド負けを喫しているから選出されるものだと思っていたが、まさかの選外。選出されたのは、大会屈指の投手・及川を擁する横浜であった。関東でコールド負けを喫したチームが東京で準優勝したチームを越して当選するなら全然選抜の意味なくないか?と思わなくもない。

 少し愚痴が長くなったが、春の評価は「投手を含めた総合力」と「勝ち方」であり、勝ち進んだ回数ではないということが過去の選考からも分かりやすい。ただし21世紀枠に関しては例外。21世紀枠高校野球の教育的側面を強調した枠であり、高野連CSR的な部分もあるのではないかと踏んでいる。
 対して夏の大会はある程度春に実績を残した強豪校にシード枠があるだけで、負ければ終わりという確実性のなさがドラマを生んできた部分がある。2016年(第99回)の早稲田実業のように、スラッガー・清宮を擁しても負ければ終わり。勝ち負けに一種の平等性があるから面白い。
 ただし夏は夏で問題がある。1枠の競争率がもの凄いことになっている県とそうでない県では、実績でも大きな差が出ているという現実である。高知のように、野球留学勢で固めて県制覇から全国を狙えるようなチームがいるならまだしも、まだまだそういう体制の整わない県はどうしても1回戦負けが続いてしまう傾向にある。参加校数の少ない鳥取や島根では見られることだが、地域の中央都市のような比較的大都市を抱えない県も他人事ではないと考える。
 一方この問題を「オラが町の野球部」という地域的な視点で見ると違った問題が発生する。金足農業のような公立校が注目され、野球留学のように夢を追い求めた少年たちに目が行かないのは、つまり「自分の町の高校の野球部だから応援する」となるのかどうかという問題に直結するからではないかと。私立でも地元勢で固めていればこうした問題は起こりづらい*1が、んなもんは選手たちには一つも関係ない。しかしこういう郷土愛というある種のナショナリズムの親戚が、回り回って球児に大きな影響を与えていそうだな、と思っている。

 郷土愛という意味で言えば、僕の故郷であり甲子園のお膝元である兵庫はどうか。高校野球熱はそこそこだが、そもそも兵庫県全体としてのアイデンティティがそこまでないので、学校の所在地周辺は盛り上がってても違う都市だと全く・・・・・・ということが起こりうるのが兵庫県。ただ、全県からエリートを集めてるところだけは支持が広い印象がある。

 高校野球と郷土愛については過去も何か書いた気もするが、いま振り返れば結構複雑だなという感想。ということで今回はここで〆。球数制限はまた気が向いたら。

*1:2010年春夏連覇興南は沖縄という地理的条件も重なり地元の精鋭軍団だった。こうした条件と沖縄県勢の悲願が重なり合ったのは、彼らにとっては幸運だっただろう

【没ネタ供養】イオンとイトーヨーカ堂 中四国の仁義なき戦い2018

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 今年使いたかったネタだったんですが、ちょっと公開する暇がないまま年を越しそうなので、ここで公開しちゃいます。どこかで動画にするかもしれませんが、とりあえずここで供養。この記事では「イオンとイトーヨーカ堂」についてお話しします。

 「イオンとイトーヨーカ堂」の戦い

 平成も終わろうとしている中で、現代日本にしぶとく生き残る全国展開のスーパーとして生き残る企業はおそらくどの業界地図を見ても「イオン」か「イトーヨーカ堂」ではないかと推測する。スーパー業界で昭和から平成にかけて栄華を誇ったダイエーは今やイオングループだし、各地方スーパーも前述した二社の意向に大きく影響されている。

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イトーヨーカ堂とイオンの勢力範囲



 しかし、だ。先ほど私は「全国展開のスーパー」と言ったが、真の意味でそれを述べるのであればそれはイオングループに限られそうだ。というのも、イトーヨーカ堂はもともとドミナント戦略*1を取っているためだ。その上、現在イトーヨーカ堂広島県以西に店舗を持たない。そのため、全国にまんべんなく店舗を展開するイオングループが事実上、現代日本では天下を統一したといえるのだ。

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でも、イオンの売上高は近年頭打ち

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イトーヨーカドーの売上高は低迷気味。セブン-イレブンに頼り切り?

 ところが、2社とも売り上げは頭打ち状態なのが明白で、新たな強化戦略を必要としている現状が見える。さらに売上高を次のグラフで比較してみる。

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売上高の差が約2兆円も開いている

 イトーヨーカ堂とイオンの2017年度の売上高は約2兆円という大きな差である。店舗の閉鎖や、衣料品が売れない*2という現在のスーパー業界全体の低迷の元凶を絵にしたような急落である。イトーヨーカ堂のほとんどの店舗の核は総合スーパーなので、食品だけではなく衣料品も売っている。筆者の肌感覚ではあるが、筆者の住む東播磨地域はイオン・イトーヨーカ堂ともに2階部分で衣料品を展開しているが、とくに平日昼頃~夕方はほとんど客足がみられないという有様である。専門店街にある衣料品店との競合もあり、なかなか苦戦を強いられている。

中四国の戦いは岡山で火蓋を切った

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イオンが進出しイトーヨーカ堂が逃げる図

 イトーヨーカ堂の勢いを抑制してしまったのは、中四国でのいままでの戦い方ではないかと筆者は注目している。イトーヨーカ堂はもともと広島より西に店舗を持たないが、岡山の天満屋ストアとの業務提携も交えることで現存する店舗周辺のシェアを岩のように守り切ろうとしていた。だが、イオンがその牙城に攻め込んできた際に為す術もなかったのが失敗だった。

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岡山の2社の主な商業施設の構図(~2014)

 岡山県にはもともとイトーヨーカ堂系の大型店舗が2つ存在していた。ひとつはイトーヨーカ堂岡山店、もうひとつはアリオ倉敷である。一方、イオンは元からイオンモール倉敷を持っていた。

 しかし2014年冬、岡山の商圏生態系に大変革が起こる。岡山駅前の林原工場跡地をイオンが買収し、「イオンモール岡山」を誕生させたのだ。

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岡山の2社の主な商業施設の構図(2014冬から2015)

 するとイトーヨーカ堂はイオンに苦しめられることになり、結果的に岡山県からほとんど撤退という形を取らざるを得なくなった、ということだ。なお、アリオ倉敷は現在イトーヨーカ堂が行っていた食品スーパーのテナントを提携している天満屋ストアに引き継ぎ、現在も営業している。

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岡山の2社の主な商業施設の構図(イオン岡山開業後)

イオンのさらなる攻勢 地方スーパーを吸収・統合し巨大化

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イオンは地方の中堅スーパーを次々に取り込んでいく

 さらにイオンは攻勢を止めない。中四国地域では2011年に香川や岡山で多くの店舗を持つマルナカを傘下に収めたしたことを皮切りに、山口のレッドキャベツを2014年にグループ入りさせている。このような地方スーパーの吸収・傘下入りをさせる戦略は西日本で多く行われている。
 スーパーをこのような形で傘下に取るというのは、前述したダイエーを傘下入りさせたときや、マイカル・ヤオハンを合併したときとは異なる部分を抱える。食品スーパーとして一定の地位を築いた「マックスバリュ」と、地域性を備え地盤がある中堅スーパーの二本立てで地方を早めに制し、首都圏や京阪神に狙いを定めたいというところがあるのではないだろうかと筆者は見ている。
 ちなみにイオンの食品スーパー「マックスバリュ」は全国で一つの会社が一括展開しているわけではなく、マックスバリュの事業子会社が地域ごとに存在している。近畿・中四国地域はマックスバリュ西日本が広島に本社を置いている。

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愛媛の有力スーパー・フジもついに手を結んだ

 イオンが地域を固めるには、それ相応の地盤を持ったスーパーを味方に付ける必要がある。そのために取ったのが、愛媛の有力スーパー・フジとの業務提携である。フジは愛媛県内最大のスーパーで、愛媛県松前町の大型ショッピングセンター「エミフルMASAKI」を開業するなどかなりイオンとも競合していたが、今年10月にまさかの資本提携

 その裏側には、イオンの戦略を揺るがす、ある「反撃」があった。

イオンの天敵・イズミが・・・・・・まさかの「反撃」

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ゆめタウン」などを運営する有力スーパー・イズミ

 今年4月、広島に本社を置き中四国・九州で勢力を固めるイズミが、イトーヨーカ堂を抱えるセブン&アイ・ホールディングスとの提携を発表した。

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 中四国ではセブン&アイ系店舗が岡山での閉店前でも3店舗と少なく、単体では不利な戦いを強いられていた。閉店後は広島県にある福山店が孤立することになり辛いシチュエーションに巻き込まれるイトーヨーカ堂と、運営するショッピングセンター「ゆめタウン」の周りに必ずイオンのショッピングセンターが建つほどイオンにライバル視されるイズミは、ドミナント戦略を取っていることや商圏が被らないことが決めてとなり、共存のために協力を決めたのだ。

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 これにより、福山市の「ポートタウン日生」にあるイトーヨーカ堂福山店は2019年春、イズミの経営で「ゆめタウン」化する。

 ところで、イズミは日本流通産業ニチリウ)に加盟しており、「くらしモア」ブランド商品の販売や共同仕入れを行っている。ニチリウにはオークワ・平和堂コープこうべ・ライフといった有力スーパーが多く所属しており、かつてはセブン&アイと提携するためにニチリウを脱退するというケースもあった。だが、今回のイズミに関しては、セブン&アイのPB商品「セブンプレミアム」の取り扱いは未定であるとしてニチリウ脱退は否定している。

 こうした状況に危機感を抱いたのは、先述した愛媛の中堅スーパーことフジである。実はイズミもフジも同じ広島の闇市出身で、もっと言えばフジはもともと広島にルーツを持つ企業である*3。そして、イオンに迫られている中で、本拠地の愛媛に店舗がないとはいえ業界4位のイズミが敵に回るということが衝撃的だったのか、結局はフジがイオンとの提携に舵を切ることになった。

まとめ

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まとめ

 結局、この構図は「地元の有力スーパーを身内に取り込み巨大化するイオンに、地元スーパーの独自性を維持しながら協力してイオンに対抗するイトーヨーカ堂」というものだった。1兆円規模のスーパー戦争は、果たして消費者のためになるのであろうか。

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 とくに、スーパー間の競合が激化することで、スーパー自体が少ない地域の店舗が巻き込まれて閉鎖される可能性が出てくる。過疎化率の高い中四国地域では死活問題といえそうだ。さらに、イオンやイトーヨーカ堂といった巨大企業との一体化のために地域性を失い、地方スーパーが無個性化するかもしれない。そうなれば、消費者はどのスーパーを選んでも同じではないかと思ってしまうのではないだろうか。

 何より、この「統合による巨大化」は、スーパーが抱える低迷の原因を根本的に解決できるものでは必ずしもない。これによって確かに仕入れの仕組みを変革する部分はあるが、各スーパーは消費の流れを激変させるファクターをもう少し持っておく必要がある。


 

*1:地域集中的に出店し、その地域のシェアを独占する戦略

*2:

blogos.com

*3:正確に言えば、その経営母体であるアスティ、現在の4℃ホールディングスがこれにあたる。ファッション系の方の4℃です。これほんと